半導体を生産する工場をファブといい、多くのプロセス装置が設置されており、生産フローは主に『前工程』と『後工程』に分類されます。
シリコンウエハ上に、半導体チップ(集積回路)を製造する工程は、自動車や電子機器の組み立てのようなラインで進める方法ではありません。
半導体チップの生産プロセスは、極めて複雑であり、多くの精密プロセス装置で処理して、やっと集積回路が出来上がります。
それでは、実際に『前工程』ではどのようなプロセスが行われているのか見ていきましょう!
半導体プロセス全体のフローについて詳しくは、こちらを参考にしてください!
前工程の前半FEOLのプロセスとは?
主に前工程の前半(FEOL)で行われているプロセスを分類すると、以下の6つに分けられます。
- 洗浄(クリーニング)
- 成膜(デポジション)
- 塗布・露光(フォトリソグラフィ)
- 食刻(エッチング・アッシング)
- 拡散, 熱酸化処理(ディフュージョン, アニール)
- 平坦化(ポリッシング)
このようにプロセスフローをぐるぐると繰り返し、半導体層を形成するプロセスフローを『循環型プロセスフロー』と言います。
このような循環型フローを用いた半導体チップである、CMOS構造について詳しくはこちらを参考にしてください!
最も一般的な半導体チップであるCMOSの製造プロセスを理解すると、各プロセスの役割と達成するべき条件が明確に理解することができます。今回は、このCMOS構造の半導体が工場でどのようなプロセスを経て製造されているのかについてご紹介し[…]
ちなみに前工程にもフロントエンド(FEOL)とバックエンド(BEOL)に分別されています。
- フロントエンド:トランジスタなどのコンポーネント層を形成
- バックエンド:電流を供給する配線層の形成
FEOLとBEOLについて詳しくは、こちらを参考にしてください!
前工程(FEOL)は、上に紹介した6種のプロセスによって形成されていますが、何種類かのプロセスを組み合わせることもできます。
例えば、成膜を精密にコントロールすることで、平坦化のプロセスを別に使わなくても、平坦化の効果も併せ持つことができます。
またそのほかにもウエハに最善のプロセス結果がもたらされ、かつウエハ生産の効率を良くするように組み合わせたりされているところもあります。
前工程のファブ構造とは?
このような循環型フローを用いて半導体チップを生産する際には、クリーンルームの生産設備の設置位置を気にする必要があります。
主にウエハーが装置間の移動時間が最短で行けるように、各装置がブロックごとに『コ』の字に設置されており、無駄なくウエハを搬送することができます。
この『コ』の字に設置されている装置のことを『ベイ方式(Bay)』と言います。
前工程のFEOLとBEOLでチップの耐性が変化!
同じ前工程でも前半と後半で、チップの特性が異なるためプロセスの内容も異なります。
前工程(FEOL)ではトランジスタなどの半導体チップの基礎となる、p型半導体とn型半導体をウエハ上に形成する必要があります。
そのプロセスでは1000℃まで温度を上げる必要のあるプロセスがあり、それに対応できる材料を選択する必要があります。
シリコンウエハについて詳しくは、こちらを参考にしてください!
しかし前工程(BEOL)になれば、使用される材料の耐熱特性が異なります。
例えばAl(アルミニウム)などの配線で使われる材料は、耐熱温度が500℃しかありませんので、一般的には400~450℃に制限されています。
半導体プロセスのBEOLで使用される金属材料について詳しくは、こちらを参考にしてください!
上にも紹介しましたが、このプロセスの違いが『FEOL』と『BEOL』に工場が分けられている要因の一つでもあります。
集積回路が生産され始めた1950年ごろには、このような生産方式によって分別はされていませんでした。
しかし半導体チップの発展によって、フラッシュメモリなどのデバイスでは膨大な数のトランジスタを搭載していますので、装置の大きさや生産効率など考慮した際に、FEOLとBEOLのプロセスを2つの生産工場で行うことが良いとされています。