半導体業界のプロセスの指標として挙げられるのは、『プロセスノードの微細化』です。
プロセスノードの微細化とは、半導体デバイス(大規模集積回路,IC)の性能の向上させながら、チップを小型化させるということです。
1965年に『Electronics(エレクトロニクス)』という言葉を生み出したアメリカの大手出版会社であるElectronicsが出版した1冊の雑誌にこのようなタイトルの論文が掲載されました。
集積回路にはより多くのコンポーネントを搭載する
この論文の作者は、世界で初めて半導体の集積回路の生産化したアメリカの半導体会社であるフェアチャイルドセミコンダクターに所属しており、後のインテル創業者のゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏です。
ムーア氏は1959年~1965年までの6年間の集積回路の発展に対して傾向を予測した論文を掲載しました。
それが後に、半導体業界全体が『ムーアの法則(Moore’s law)』と呼び、その傾向に沿うように研究開発が進められるモチベーションにまで発展するようになりました。
そのムーアの法則の基礎となった、論文の一文が以下の通りです。
ゴードン・ムーア氏が論文を発表した際は、集積回路が登場して間もないタイミングでしたが、かなり急速に成長している産業でした。
この論文は、発展途中の半導体業界でまだデータなど揃っていなかったため、ゴードン・ムーア氏の観察的推測に過ぎませんでした。
しかしゴードン・ムーア氏が創業したインテルの集積回路産業に対しての堅実な発展と成長は、論文で発表した予測と正確に一致させるものとなりました。
ムーアの法則の論文の焦点は他にも2つ挙げられます。
これは有名な話ですが、ゴードン・ムーア氏は1997年9月に『ScientificAmerican』誌のインタビューで18ヶ月と表現したことはないと言われています。
ムーアの法則の持続的な効果は、半導体プロセスの微細化の進歩が最も影響が大きいです。
半導体プロセスの微細化は、加工サイズが3年ごとに60%~70%縮小され、チップの面積が1/3にまで縮小されることで、『ムーアの法則』である18ヶ月でほぼ性能が倍増されるという条件をクリアすることが出来ます。
半導体プロセスの微細化の発展進捗を見てみると、100nmを突破してからは徐々に発展速度が緩やかになっており、30nm以降ではさらに遅くなっています。
出典:日経エレクトロニクス(https://webronza.asahi.com/science/articles/2015042700003.html)
ムーアの法則が誕生してから半世紀になりますが、現在も半導体業界が認めている傾向であり、それに向かってなんとか達成しようと研究開発が進められています。
現在の情報化社会において、集積回路は欠かせないものとなっていますが、半導体の性能を向上させるために主に取り組まれている項目は以下の通りです。
- サイズ
- 価格
- 密度
- 速度
- 性能
- メモリ容量
- センサ感度
- クロック速度
- 画素数
このような項目が挙げられており、集積回路中のトランジスタの数が増加しているため性能は向上しています。
このトランジスタが小さくなり、集積回路全体が小さくなることで、パソコンやスマホのサイズを小さくすることが出来るようになりました。
現在使われているスマホの計算能力はすでに、1990年代のパソコンの計算能力を遥かに超えているほど進化しています。